第2章 フロントトレッド
2.ワイドトレッドの空間と問題点
ワイドトレッドの必要空間:
ではワイドトレッドになると、必要空間はどれだけ変化するでしょうか?
緑のタイヤがワイドトレッドのホイールを使用したタイヤを表しています。
ミニッツのワイドトレッドは車軸への取り付け部を内側へオフセットする事により、
ワイド化を図っていますから、支点である左右のキングピン幅は固定されたままです。
ごく当たり前のことですが、トレッドが広くなると
増えた分だけ、必要空間の幅も左右に広がります
赤のスペースが標準幅の必要最大空間で、
水色がワイドトレッドの最大必要空間です
単純に、トレッドが広がった分だけ必要スペースの左右間も
広がったのが確認できますね。
当然ながら、車幅が広いボディが必要になるということが分かります。
ワイドトレッドの問題点:
オフセット方式のワイド化の問題点を探ってみます。
図は標準幅とワイド幅を同じ量だけステアリングを切り、タイヤ先端に
ラインを引いたところです。
白が標準の前後端のラインで、黒がワイドトレッドの物ですが、
比較するとワイドトレッドの方が標準に比べて前後にスペースが
必要なことが分かります
では前後端に必要空間が広がったときにどのような影響が出るのでしょうか?
実はここがワイドトレッドの大きな矛盾点が生じる部分なのです
イラストは前輪部分を横から見たところです
仮に標準幅の前輪が動くために必要な空間がピンクのエリアだとします
この状態ではボディと干渉していないものと仮定します。
グリーンのエリアは前後に広がったワイドトレッドの必要空間を表しています
同じボディだとタイヤと干渉してしまうのが分かりますね。
これが前後に必要空間が広がった際に生じる問題点なのです。
一般に車はフロントガラスよりも先端に行くほどボディラインは下がっていきます
先端ほど上がっていくとドライバーはボディで前が見えませんからね(^^;
もちろん人が乗って操縦するわけではないミニッツにはどうでも良いことですが、実車をモデルに作られている
ボディなので、現実を無視した形はしていません。
そして実車を模しているからこそ生じる矛盾点ですが、トレッドが広い車というのはレースカーを意識したような
車高の低い車が多いのです。
更にキングピン位置より前に行くほど極度に低くなるラインをしています。
ワイドトレッドほど前後に必要空間が広がるのに、ボディ側ではワイドトレッド向きのボディほど、
前後空間を(特に前)確保するのが難しいという矛盾が発生してしまいます。
すでにF40では必要空間を確保できないまま販売されているようです。
これなどは必要空間を確保するのが難しいボディの典型かも知れません。
では解決策は? 残念ながら現状ではかなり厳しい状態です。
次項では今後の期待を含めて、解決策を提案してみたいと思います
対策提案
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